セミナー・ワークショップ/介護セミナー
第12回「快適な排尿をめざすセミナー」を開催しました。
日時: 2008年2月23日(土)
13:30〜16:30
場所: メルパルク京都
- 1.「機能障害を持つ方の排泄の自立を目指して」
- 長浜赤十字病院 作業療法士、福祉用具プランナー 伊藤 恵
トイレが一人でできれば家に帰ってもらえるのに、入院期間の短縮に伴い、トイレの自立までいたらず、老健施設や回復期病棟に転院を余儀なくされる高齢者の方が増えてきました。立位が取れなくても、ベッド上の起居動作ができれば、安全にできる排泄の方法を勉強しました。手すりや横移乗により、立位が取れなくてもポータブルトイレに移乗できることをご紹介しました。
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- 2.ディスカッション「安全で安楽な移動方法でトイレ排泄を実現する方法」
- 伊藤 恵、山口昌子(日本コンチネンス協会 看護師)
介護される側も介護する方にとっても、介助方法で転倒や転落を防ぎ、安全で安楽な方法があります。事例を通してセミナーで移動動作を学びました。
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- まとめ
- 京都市立病院泌尿器科 医師 上田朋宏
内容
1.「機能障害を持つ方の排泄の自立を目指して」
- はじめに
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まず、排泄にかかわる意識や動作、利用者・介助者の能力についてお話いただきました。 
- 移乗の基本原則
- ・介護される方の安心と安全を確保し、出来るだけ快適であること
・介助者の身体を守り、余裕のある方法であること
→必要に応じて道具(福祉用具)を利用すること
です。
- 動作介助の基本となる方法
- 基本を理解し、自分の身体を守り(正面で、体に密着させて介助する)、できるだけ筋肉を使わない、介護される方の協力を得る、などです。
- 移乗方法
- ・立位移乗
立って移動する方法です。高さ(ゆっくりと安全に着座でき、立ち上がれる)、けこみ(ひじを曲げてかかとが十分引き込めるスペース)、肘掛け、安定性などを考慮します。
・座位移乗
座って移動する方法です。全体形状(ベッドとの間に隙間なく設置できる)、座面の形状(より平坦なもの)、肘掛け、高さ、安定性などを考慮します。
〜移乗方法をデモンストレーションしていただきました。〜
介護される方が楽に起きられるよう、4分の1の背圧の抜き方をご紹介いただきました。
・介護者の首を引っ張らないで、肩甲骨や手のひらでささえるようにします。
・介護者を持ち上げないで、すべらせて移動します。
今回、「移座えもんシート」やスライドシートを使い、移乗しました。内側・外側の両面すべり加工により、摩擦の軽減ができ、少ない力で身体を移動させることができます。だいたい3,000円までで手に入れることができます。また、フレキシベルトも使用しました。利用者を立ち上がらせたり、座らせる時や移動の時に使用します。価格は2〜3万円しますが、滋賀県の場合ですと、介護保険の対象となります。
  
 
- 立位移乗か座位移乗どちらにするか
- はじめから立位移乗しか考えない医師が多いですが、立位移乗か座位移乗どちらにするかは、看護師から作業療法士、理学療法士、介護士に伝え、チームのみんなで考えていってほしいと思います。
- スカットクリーンのご紹介
- スカットクリーンの※詳しくは、「福祉用具に関してのお役立ちコーナー」をご参照ください。
http://www.hainyo-net.org/ikkisan/002.html
です。
- 介護用シーツ
- 吸水タイプ、防水タイプ、スーパーソーブなどがあります。
- 紙おむつ・パッドの選択
- 尿量や時間帯によって使い分け、吸収する量・範囲を知り、利用者の体型に合ったものを選択することが必要となってきます。また、紙おむつの配給は、各市町村によって異なります。
〜紙おむつやポータブルトイレの種類についてもご説明いただきました。〜
- ポータブルトイレの設置場所について
- トイレをベッドの頭の近くの位置に置いておくこともありますが、介護される方の気持ちを汲むと、足元に置いての移乗方法が無いか検討してみてください。
- 昇降便座
- 電動で座面が上がり立ち上がりを楽にします。ななめだと立ち上がりが楽ですが、障害のある人によっては、立ち上がりの仕方が垂直方向とななめ方向に分かれますので、試し使いの必要があります。手すりの位置が異なるだけで体重移動が違ってきます。
- CSW(コミュニティーソーシャルワーカー)
- 在宅介護支援センターの担当者です。認知症・虐待・経済問題など多岐にわたる問題で共に取り組んでくれるパートナーでもあります。申請のお手伝い等、行政機関への橋渡しもしてくれます。
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2.ディスカッション「安全で安楽な移動方法でトイレ排泄を実現する方法」
<事例>
80歳代女性(長男夫婦、孫と同居)の下記の事例を取り上げました。
病名:脳梗塞発症後1週間、右上肢完全麻痺、右下肢不全麻痺、言語障害、認知症はなし
身体的特徴:円背が強く、かなり腰が曲がっている
ADL:何とか端座位が取れる程度、介助で起立が可能(右足が1歩出る程度)
排泄:尿意、便意はあり、ポータブルトイレの移動時に失禁がある
本人の思い:家に帰りたい
家族の思い:排泄が自分でできるようになれば、自宅で介護していきたいが、夫婦共働きであり、日中1人になってしまうため、心配である
リハビリゴール:1ヶ月後のリハビリで、端座位の自立は可能と推測できる
排泄動作:起立して介助者に支えてもらい、パンツを下げてもらえば、ポータブルトイレで排泄できる
転倒のリスク:入院中、夜間トイレに行きたくなり、ポータブルトイレなら自分でできると思い、ベッド横にポータブルトイレが置いてあったので、看護師を呼ばず、移動したが、転倒した。
下記のポイントで、ディスカッションしました。
- ★在宅に向けて、どのくらいの期間でどのような排泄動作の自立をめざしますか?
- ★昼と夜の排泄の場所、用具は同じでいいのでしょうか?
- ★排泄の自立ができるようにするために、1番の問題点となる動作はどんな動作ですか?
- ★ベッドのマットはどんなものを選択しますか?
- ★あなたなら、この患者さんを、どのような経路で在宅へ返そうと考えますか?
急性期の病院から直接、在宅に
回復期=リハビリ病院に転院してから在宅に
回復期=リハビリ病院に転院してから、さらに老健の施設でリハビリを十分してから在宅に
はじめから長期にみてくれる老健施設に転院し、在宅に
4つのグループに分けて、話し合いました。「座位が安定すれば、1〜2ヶ月で、横移乗でポータブルトイレでの自立をめざす」「横移乗で移座えもんシートを使えば、昼はポータブルトイレで自立できる」、「夜はスカットクリーンを使うと排泄自立ができそう」「夜間は転倒しないためにおむつを使う」という意見もあり、「助ける人がいたらおむつはいらないのでは」という意見もありました。「ベッドのそばにある手すりを右手から左手に変える」、「円背を考えると、 ベッドのマットは周囲を硬くして真ん中を柔らかくするマットを使用すると安全に座位が保てるし、褥瘡(じょうくそう:床ずれ)ができにくい」、「十分リハは継続して行いたい」「回復期の1ヶ月はリハビリ病院に、その後在宅にする」という意見が多くありましたが、「年齢から考えるとそのまま自宅に帰るほうがよい」という意見もありました。
短い時間でしたがさまざまな意見が出て、他職種でのディスカッションは、その職種の立場からの意見を聞くことができ、参考になることが多くありました。排泄は尊厳のケアであり、その方や家族の思いを大切にして、安全で安楽な方法で自立に向け、他職種で関わっていくことが大切であると思います。また他職種の方々のチームワークも大切であり、チームを大切にしていく必要性の確認ができました。
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